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介護士がしっかり休むことで実現する、豊かな介護(下)

interview徳田義盛さん / 地域密着型介護老人福祉施設 なごみ施設長

地域密着型介護老人福祉施設 なごみ施設長。障害者施設の厨房のおばちゃんに「あなたは向いている」と進められ、団体職員から社会福祉法人 和光会に転職。知的障害施設で働きながら、社会福祉士の資格を取得。2009年、地域密着型介護老人福祉施設「なごみ」開設とともに施設長として就任。入居者の気持ちに寄り添い、地域と一体になった介護手法が注目を集める。


労働時間としての価値と、人材としての存在価値

8時間とか10時間という労働時間の中で効率よく働くことを求められる労働時間としての価値は、ともすれば、余暇を含めて会社に尽くしてしまいがちです。一方で、その人が関わること自体が価値になるという考え方(人材としての価値)もあります。先ほどのお華が趣味のスタッフの場合だと、休みが多いので労働時間としての価値は低いかもしれませんが、人材としての存在価値があるといえます。

うちの有休取得率は88%あって、さらに年に1回、連続5日休暇があります。みなさん旅行に行ったりして、充電しているみたいですよ。

プライベートが充実していると、結果的に仕事でもいいパフォーマンスを発揮しますよね。

地域社会には多様な人が生活しているように、介護施設の人材も均一化してはいけないと考えています。なぜなら介護施設は暮らしの場だから、いろんな人がいてしかるべきなんですね。お華でも、フルートでも、いろんな得意を持った人がいてOKなんです。私たちは人間を相手に仕事をしていて、均一な製品を作っている訳ではありませんから。

ちなみに徳田さん、お休みはどう過ごされているのですか?

私はものを作るのが好きなので、日曜大工でパーゴラを作ったり、畑仕事をしたり、プラモデルを作るのも好きですよ。意外でしょ(笑)

与えるから、寄り添うへ

以前、デンマークから視察が来て、「なごみのスタッフは、入居者への目線がいい」と驚いていました。そっと手をさしのべるというか、相手のして欲しいを察するのが上手いということなんだと理解しています。

介護というと、得てして提供しているという上から目線になりがちですよね。

スタッフがユニフォームを着ていないのは、介護する人/される人という関係性にならないようにしているからなんですね。介護人のことを英語で、”care giver”と言います。与える人です。でも本来は、”care partner”なんじゃないかとある人が言ったんですね。なるほどなと。誰かが犠牲になるではなく、入居者ご本人・家族・スタッフが三位一体となって支え合うことが大事なんです。

週休3日正社員制度については、どう思われますか。

素晴らしいですよ、この考えがもっと一般化して欲しいです。こう答えると嫌らしいですか(笑)

日本はひたむきに働いて、いいものを安く作り、経済的な成長を遂げました。でも、少子化など、犠牲にしたものもたくさんあります。みなさん、それに気付き始めていますが、もう遅いくらいだと思います。当時、海外の人は日本人を「エコノミックアニマル」と揶揄していましたが、彼らはすでに気付いていたんですね。自分たちは家族を大切に、地域を大切にして、限られた仕事の時間の中で価値ある商品を作ってきた。一方で日本人は、家族を犠牲にして、土日も働いて安い物を作る。そんな価値観で勝負されても困ってしまいますよね。

当時の日本人は彼らの言うことが分からなかったけれど、今なら理解できます。ばりばり働くことを否定はしませんが、少なくとも、多様な働き方を認めなければいけない時代になっていると思います。

以前、20代前半の女性を採用したのですが、介護の仕事に慣れることができず体調を崩して辞めてしまったんですね。本当に申し訳ないことをしたなと反省しています。当時の彼女は若く経験も少なかったですが、30歳になってからでも、40歳になってからで、子どもがいるならパートでもいいから、また介護の世界でチャレンジできる働き方の受け皿を整えたいですね。

今は、正社員かパートかの2択しかない状況ですから。週休3日の正社員制度が浸透してくれるとうれしいですね。

週休2日は世界標準ですし、今後は週休3日が世界標準になっていくのではないでしょうか。会社だけが自分の輝く場所ではないから、空いた時間をどう使うかは自分で考えないといけません。多様性が豊かさだとすると、週休3日をはじめとする多様な働き方が実現することは、これからの日本の豊かさにつながっていくと思います。

介護士がしっかり休むことで実現する、豊かな介護(中)

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